新型コロナ予防を理由に妊婦は会社を休めるのか?
新型コロナ感染が妊娠に与える影響
現時点では、妊娠後期に新型コロナウイルス感染症に感染したとしても、経過や重症度は非妊婦と変わらないという医学的知見が出ています。
しかし、妊娠初期についての影響は明記されていません。ただ、新型コロナウイルスに限らず妊娠中の肺炎は一般的に、妊娠していない時に比べて重症化する可能性があるといわれています。
厚生労働省から企業へ
妊婦中の労働社への業務配慮
妊娠中の女性、特に外で働くワーキングママはこの新型コロナ状況により不安を感じていますよね。
パートタイム労働者、派遣労働者、有期契約労働者など、いろいろな働き方の妊娠中の女性労働者へ向けた配慮をするよう下記のように国は企業へ促しています。
・妊娠中の女性労働者が休みやすい環境の整備
・感染リスクを減らす観点からのテレワークや時差通勤の積極的な活用の促進
・妊娠中の女性労働者も含めた従業員の集団感染の予防のための取組実施
しかし、テレワークができない業種の方は出勤せざる終えないでしょうし、そもそもテレワーク環境が整っていない会社もあるようです。
そうした中で、ママたちは自分の判断で、覚悟して働くか、思い切って休むかの選択を迫られています。
また、休みを選択した際に、一番気になるのはやはりお金の話です。新型コロナの予防を理由に休業を選択した場合に、賃金はどうなるかについてをみていきましょう。
コロナ予防を理由に休む妊婦の賃金について
労働者を休ませる場合の賃金の取扱いについては、妊娠中の女性労働者も、労働基準法第 26 条において、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合に休業手当(平均賃金の 100 分の 60 以上)を支払わなければならないこととしています。しかし、例えば、新型コロナウイルス感染症に関連して不可抗力により労働者を休業させる場合等で、休業手当の支払いが不要となるときでも、労使の話し合いの上、有給の特別休暇制度を設ける等により、就業規則等において休業させたことに対する手当を支払うことを定めていただくことが望ましいことにご留意ください。
厚生労働省公式ページより(https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000618001.pdf)
厚生労働省の通達文としては、このように記載されています。
要するに、会社側からお願いして社員を休ませたときには手当(平均賃金の 100 分の 60 以上)がでますが、そうじゃない場合は給料や手当は出ませんよ。その基準は会社側で新たに設けて対応してあげてね。ということですね。
つまり、会社がいろいろ配慮の案をつくってくれない限りは、自分から休みをとった場合、有給休暇以上の日数やすむとき、その間、賃金はゼロということになります。
会社や事業主側を助ける雇用調整助成金
会社や事業主もそうしたくてそうするわけではないことは理解していかないといけません。
本来なら働いていない人に対してお金を払うなんてことはないわけですから。
しかし、こんなときの国の政策、つまり助成金や補助金の出番ということになります。
経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、正規雇用・非正規雇用にかかわらず、妊娠中の女性労働者を休業させた場合、雇用調整助成金の対象になり得ることも踏まえ、労使で十分に話し合っていただき、労使が協力して、安心して休ませることができる体制を整えていただくようお願いします。
労働省公式ページより(https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000618001.pdf)
こう記載されている通り、妊婦の生活を助けるために会社が補填するのではなく、状況次第では雇用調整助成金の対象になるかもしれないから、そうなれば国から補填してもらってお金をもらいましょう。
ということになります。
企業側が、そうした制度で対応してくれなさそうなとき(個人事業主など規模が大きくない場合は、制度自体を把握していない可能性もあります)は、こちらから聞いてみても良いかもしれません。
休暇相談後、退職を迫られた場合
しかし、世の中経済的にも苦労している会社が多く出てきたこの状況です。
なかには、休業相談後に退職を迫られたなんてかたも、いらっしゃるようで、ルナルナベビーなど、妊娠中のママが利用するアプリの相談で何度かこのような内容の相談を見たことがあります。


そんなとき、まずママたちは自身の雇用形態の権利をきちんと調べ、把握してください。そのうえで本当にそうするしかないのかという部分を確認した方がよいでしょう。
様々な労働形態の労働者を守る国の基準、つまりは法律があるわけですから、退職をするよう言い渡された場合、それが無理難題を言われていないかを一度、確かめる必要がありそうです。
さいごに
妊婦さんも多くの不安を抱える日々ですが、企業も新型コロナから発生した影響への対応に必死の状態です。
理不尽なことも多くあると思いますが、冷静な判断で、相手への配慮をしつつ、自身の権利もしっかりと主張できるようにしましょう。
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